行政についての訴訟判決

行政についての訴訟判決

  • ◆S50. 5. 9 長崎地裁 昭和46(行ウ)3 損害賠償請求事件(23)◇

 

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日原告にその作成日欄を補完させたことをもつて、右同意を与えたとみることができるかどうかということに帰着する。しかしながら、元来、辞職願を受理することは、教育委員会の同意と相まつて教育委員の辞職という形成的効力を生じさせる市長の同意と異なり、いわゆる準法律行為的行政行為に属するものと解するのが相当であるから、辞職願を受理したことをもつて、直ちに、辞職申出に対する同意がなされたものといえないことは、明らかである(なお、被告代表者尋問の結果中には、辞職願を受理するに際し、「同意しましよう。」と明言した旨供述する部分があるが、いまだ、当裁判所の心証を惹くに足らない。)。また、市長が原告に対し、空白のままとなつていた辞職願の作成日欄の補完を求めたのは、やはり、該辞職願の提出された日(従つて、これが受理された日)を明らかに

しようとの趣旨であつたものと解するのが相当であり、右補完させたことをもつて、原告に対する辞職の同意と目するのは、何としても飛躍にすぎるというべきである。
叙上かれこれ考察してきたところによれば、諌早市長が原告の辞職申出撤回前に同意を与えたかについては、いまだこれを確かめることができなく、ひつきよう、被告は、この点につき必要な立証をつくさないことに帰するものといわざるを得ない。
五 さらに、被告は、原告のなした辞職申出の撤回は信義則に反し許されない旨主張しているので、以下、この点について判断を加える。
元来、教育委員が

その任期終了前に辞職を申出た場合において、地方教育行政組織法第一〇条に定める地方公共団体の長または教育委員会の同意がなされて辞職の効果が発生する以前であれば、原則として自由にこれを撤回できることは、さきに説示したとおりであるけれども、ただ、長または教育委員会の同意がなされる以前においても、もし無制限に撤回の自由が認められるとすれば、場合により、信義に反する辞職願の撤回によつて、辞職願の提出を前提として進められた爾後の手続がすべて徒労に帰し、個人の恣意により行政秩序が犠牲に供される結果となることがあるので、長または教育委員会の同意以前で

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