行政についての訴訟判決

行政についての訴訟判決

  • ◆S50. 5. 9 長崎地裁 昭和46(行ウ)3 損害賠償請求事件(24)◇

 

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あつても、辞職願を撤回することが信義に反すると認められるような特段の事情がある場合には、その撤回は許されないものと解すべきである。しかして、長または教育委員会のいずれか一方のみがすでに同意を与えている場合にあつては、かように一方からの同意がすでになされているということは、信義則に関する事情の一つとしてしん酌するのが相当である。
そこで、叙上の見解に立脚して、撤回が許されないような特段の事情が存するかどうかについて検討するに、教育委員会が、原告において辞職を申出た前記一五日に、すでに右辞職申出に対する同意を与えていたこと、市長が、原告辞任後の後任人事について教育長と協議し、かつ、その協議の結果を市議会議長に報告していること、並びに、市長が、原告の提出した辞職願を、原告を除くその余の教育委員全員の供覧に付した

ことは、いずれも、先きに認定したとおりであり、また、成立に争いのない乙第五号証及び証人Bの証言によれば、折柄開会中の諌早市議会においては、Bを始め数名の議員から、原告に対し、教育行政に関して一般質問がなされる予定となつていたが、原告が辞職願を提出したことにより、急拠これが中止され、同定例市議会は、結局、原告が辞職願を撤回する以前に、右一般質問をしないまま、閉会に至つたことが認められ、この認定に反する証拠は存在しない。
しかしながら、他面、後記各証拠によれば、次のような事実を認めることができる。すなわち、1 前掲甲第四二号証、証人

Dの証言により真正に成立したものと認められる乙第七号証の二、同第八号証の四、同第一〇号証によれば、昭和四五年一二月二五日に開かれた諌早市教育委員会の定例(一二月)委員会は、その招集及び議事日程の通知に際し、その招集者(通知者)として原告の名義を掲げていたこと、並びに、当日は、原告を含めた五名の教育委員全員が出席して開催されたが、その際も、原告は、教育委員長として開会を宣言し、議事の進行を司つたが、原告を除くその余の各委員としても、それに関して格別疑義をさしはさむようなことはしなかつたことが、認められ、この認定に反する証拠はない。

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