行政についての訴訟判決

行政についての訴訟判決

  • ◆S50. 5. 9 長崎地裁 昭和46(行ウ)3 損害賠償請求事件(3)◇

 

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単に煩わしいというばかりでなく、その精神的苦痛は言い知れぬものがあつた。そのため、原告は、翌一五日に開かれた教育委員会の席上辞意を表明し、かつ、即日市長に対して口頭にて辞職したい旨申出でたほか、市長の求めに応じて、同月一七日、市長に辞職願を提出した。
従つて、原告が辞意を表明したのは、原告の任意の意思によるものではなく、Bの右のごとき強迫行為に基因するものであるから、その辞職の申出自体か無効である。仮りに、これが無効といえないとしても、原告は、後記主張のように、諌早市長及び同市教育委員会(以下、単に教育委員会という。)に対して右提出した辞職願を撤回する旨の意思表示をなしたが、右辞職の申出(瑕疵ある意思表示)は右撤回の意思表示によつて取消されたものというべきである。そうすると、かように無効または既に取消され

た辞職申出に対してなされた市長の同意(免職処分)は、その効果を生ずるに由ないものであり、違法たるを免れない。
(二) 仮りに、原告の辞職の申出がBの強迫行為に基因する瑕疵ある意思表示にあたらないとしても、原告は、昭和四五年一二月二〇日及び同月二三日に市長に対して、次いで、同月二五日に教育委員会に対して、それぞれ右辞職の申出を撤回した。すなわち、原告は、右辞職願を提出したのち、種々冷静に考慮を廻らした結果、いかに煩わしさを避けるためとはいえ、教育委員長の地位にある者が外部の圧力に屈して辞任するということは、教育基本法第一〇条の精神

に反することであり、我国の教育行政を誤つた方向に導くことにもなりかねない、と思い返えし、まず、同月二〇日、市長の自宅に赴いて、市長に対して辞職願の撤回を申入れ、該辞職願の返還を求めたほか、同月二三日には再度市長宅に赴き、同月三一日には電話で、さらに、昭和四六年一月一七日には市長に呼出されて前記道具屋で面談した際、それぞれ重ねて市長に対し辞職願の撤回を申入れて、その返還を求めたが、市長は、右いずれの場合も言をにごして応接し、辞職願返還の要望に応じようとしなかつた。他方、原告は、昭和四五年一二月二五日に臨時教育委員会を招集し、その席上、辞

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