行政についての訴訟判決

行政についての訴訟判決

  • ◆S50. 5. 9 長崎地裁 昭和46(行ウ)3 損害賠償請求事件(5)◇

 

前ページへ  次ページへ

ずである。そればかりでなく、元来、市長は、教育委員の在免権者として、地方教育行政組織法の規定全般を正確に理解しておくべき義務を負つているのであるから、準法律行為的行政行為である辞職願の「受理」行為と、意思表示を要素とし、法律上の効果を発生させる行政権の行為としての「同意」との相違を誤まるが如きは、まさに重大な過失があつたものと解さざるを得ないからである。
5 原告は、諌早市長のなした違法な免職処分の結果、次のような損害を蒙つた。
(一) 原告は、教育委員長として昭和四六年九月末日までの残任期間が存したところ、原告の違法な免職処分により、右残任期間中の報酬を受けることができず、これと同額の得べかりし利益を失つた。すなわち、原告は、昭和四六年一月当時、教育委員長として月額金一万三、〇〇〇円の割合による報

酬を受けていたが、右免職処分により、同年二月分として金二、一六六円の支給を受けたのみで、同月分の残額金一万〇、八三四円及び同年三月以降九月末日までの間の報酬全額金九万一、〇〇〇円の支給を受けることができず、右合計金一〇万一、八三四円の損害を蒙つた。
(二) 原告は、市長の故意または重大な過失に基づく違法な免職処分により、その意に反して教育委員長としての地位を失つたが、すでに残任期間が経過している関係上、もはやその地位を回復することは不可能である。しかも、かような違法な免職処分な受けたこと自体、原告の名誉を著るしく損うものである。

原告の蒙つた精神的損害は、到底金銭をもつて償いうる性質のものではないが、他にこれに代る補償の手段がないので、これを金銭をもつて評価するときに、その額は金三〇万円を下らない。さらに、右損害賠償とともに、原告の右損われた名誉を回復するためには、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞及び長崎新聞の各朝刊広告欄に別紙のとおりの謝罪文を各一回掲載する必要がある。
(三) 被告は、諌早市長のなした免職処分が違法かつ無効のものであることを認めようとしないので、原告は、その蒙つた前記損害を償うため、やむを得ず本件訴訟を提起せざるを得なかつた。そして、原告

前ページへ  次ページへ





おすすめサイト






-