行政についての訴訟判決

行政についての訴訟判決

  • ◆S50. 5. 9 長崎地裁 昭和46(行ウ)3 損害賠償請求事件(10)◇

 

前ページへ  次ページへ

長から後任人事をどうするかとの質問がなされたが、市長としては、既に教育委員会事務当局及び教育長と協議の結果、原告の残任期間は、昭和四六年九月末日までであるか、一人の欠員では教育委員会の運営に当分支障をきたすおそれがないとの結論であつたので、当分の間後任教育委員の人事案件は提出しない旨を議長に報告し、議長もこれを了承した。しかして、かような諌早市及び同市議会等でとられた内部手続の経緯からみても、市長が原告の辞職に同意したことは明らかである。
2 仮りに、原告が辞職申出を撤回する以前においては、市長及び教育委員会から地方教育行政組織法第一〇条に定める同意がなされなかつたとしても、原告が辞職申出を撤回することは、次に主張するごとき理由により信義則に反するので、許されない。すなわち、
(一) 原告は、昭和四

五年一二月二三日に至つて始めて辞職撤回を申出でたのであつて、同日以前に右撤回を申出でたことは存しないところ、諌早市長は、すでに主張したように、原告から辞職願を受理した翌日に当る一二月一八日、原告を除くその余の教育委員に対し、原告より辞職願を受理したことを周知させる手続をとるとともに、市議会議長に対し、原告の残任期は昭和四六年九月末日までの短期間であるうえ、差当り欠員を補充しないでも支障がないので、教育委員の後任人事については、折柄開会中の市議会に提出する予定はない旨の報告を了していること、そればかりでなく、右開会中の市議会においては、

教育行政、ことにCの前叙暴言問題等に関して、原告に対し、一般質問がなされることになつていたが、原告の辞職申出が市議会議長を通じて市議会議員全員に知らされたため、右に予定されていた一般質問はいずれも取り下げられるに至つた。しかるに、原告が辞職申出をなしたのは、長男であるCが従前より教職員組合のストに参加するなど、とかく教育委員会の方針ないし指示に背く行動をとることに苦慮していたうえ、前叙暴言問題まで発生し、教育委員長としての公的立場と子を思う親の心の板ばさみとなり、道義的責任を強く感じざるを得ない苦境に追い込まれたことによるものである。

前ページへ  次ページへ





おすすめサイト






-