行政についての訴訟判決

行政についての訴訟判決

  • ◆S50. 5. 9 長崎地裁 昭和46(行ウ)3 損害賠償請求事件(13)◇

 

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育委員会において、前叙主張したごときBとの会見の模様を報告し、教育委員を辞職したい旨申出でた。右辞職申出に対しては、教育委員である訴外Eから、「委員長が自発的に辞めたいというのであれば、それでよいだろう。自分としては辞めろとか、辞めるなとか言う権限はない。」旨の発言があつたものの、その他の教育委員からは格別の発言もないままで、同日の教育委員会を終了した。従つて、右経過をもつて、地方教育行政組織法第一〇条に定める教育委員会の同意があつたとみることはできない。
(二) また、原告は、右同日、市長室に赴き、市長に対し、「教育委員会で辞職したい旨申出でた。」旨を報告し、辞職したい意向であることを明らかにしたところ、市長は、作成日付を記入せずに辞職願を提出しておいた方がよいであろうと助言したのみであり、右辞意に対す

る同意の意思表示はしなかつた。そして、原告は、翌一七日午前七時ごろ、市長宅を訪れて、市長あての辞職願を提出したが、その際も特に言葉を交しておらず、右辞職に対する同意の意思表示はなかつた。
この点につき、被告は、原告が右辞職願を提出した際、諌早市長は「辞職を承諾しましよう。」といつてこれに同意した、右同意をするについては、特に書面をもつてなされることが必要なわけではない、旨を主張するが、本件においては、叙上主張したような経過が存するのみであつて、通常官公庁で行われている、いわゆる受理行為すら行われた形跡は存しない。仮りに、右受理行

為はあつたとしても、辞職願を受理することが直ちに辞職に対する同意を意味するわけではない。けだし、右受理行為は、準法律行為的行政行為であるから、行政庁の効果意思の表示を要素としないのに対し、地方教育行政組織法第一〇条に定める同意は、「免職」という法律上の効果を発生させる行政処分であり、市長としては、辞職願を受理しても、これに同意を与えないということもできる筋合のものであるからである。従つて、市長が辞職に同意するには、一旦辞職願を受理したうえ、さらに、同意の意思表示がなさるべき性質のものであるところ、それに、書面によるを要するか否かは別と

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