行政についての訴訟判決

行政についての訴訟判決

  • ◆S50. 5. 9 長崎地裁 昭和46(行ウ)3 損害賠償請求事件(28)◇

 

前ページへ  次ページへ

告に対して、諌早市長の右違法な公権力の行使(同意)の結果蒙つた損害につき、賠償を求め得るものというべきである。
進んで、諌早市長がすでに撤回された原告の辞職申出に同意を与えるにつき、故意もしくは過失があつたかどうかについて判断する。
七 被告代表者尋問の結果によれば、市長は、昭和四五年一二月一七日、原告から辞職願を受理した段階で、教育委員会の同意と相まつて、原告の辞職の効力が生じているものと即断して、原告に対して同意をした旨を通知するなどの処置をとろうとせず、原告から辞職願撤回の申出があつた後である昭和四六年二月四日に至つて、ようやく、免職辞令と同様の形式をもつて、原告の辞職申出に同意する旨の通知をなしたことが認められ、前掲甲第四二号証のうち右認定に反する部分は採用しえず、他に右認定を左右するに足る

証拠はない。
右事実によれば、市長が原告の辞職願の撤回が有効であることを知つていたとは到底解せられないから、違法な同意処分を行うに際し、市長に故意があつたものとまで認め得ないことは、明らかである。
しかしながら、元来、行政権の最終執行責任者たる市長は、その職務上、一般人よりも関連法規、判例、通達などを熟知、精通していることを要求されているものというべきところ、本件は、前説示のように、辞職の効力の発生時期、辞職願撤回の可否などにつき、解釈上疑義が生じやすい場合ではあるが、辞職申出撤回に関連して従前幾度びか示された最高裁判例や

、地方教育行政組織法第一〇条に関しての通達などを検討するときは、辞職の撤回が有効と考える余地が生じてくるにもかかわらず、格別所管官庁や法律専門家などに問い合わせて調査するなどをすることなく、かつ、原告の再三にわたる撤回の申出を無視して、前記二月四日に至つて、原告に対し、その辞職申出に同意する旨の辞令(書面)を交付して、事実上原告の教育委員(長)としての地位を失わしめると同一の結果を招来したものであるから、市長には、過失があつたと認めるのが相当である。
八 原告の蒙つた損害について考察する。
1 原告の教育委員としての任期が

前ページへ  次ページへ





おすすめサイト






-